ラグボックスについて

プロダクトは数日、事業判断は数ヶ月。そのズレで没になったツールの話

プロダクトは数日、事業判断は数ヶ月

AIで開発が速くなって、いちばん最初に起きたのは「作る側だけが速くなった」という状態でした。

プロトタイプは今週できる。けれど、予算の承認は来月の会議、法務チェックはその後、優先順位の見直しは四半期ごと。作るスピードと、事業として意思決定するスピードのあいだに、大きな差が生まれています。

そしてこの差の中で、たくさんのツールが行き場を失います。動いているのに、リリースされない。悪いものだからではありません。方針が変わった、担当が代わった、今期の優先順位ではなかった。ただそれだけの理由です。

没になったツールは、価値がなかったわけではない

私たちがラグボックスを作った理由のひとつが、ここにあります。

ある会社で「今じゃない」と判断されたツールは、別の会社では「まさに今それが欲しかった」ものかもしれません。使われる場所の問題であって、出来の問題ではないことのほうがずっと多い。お蔵入りは、ツールの価値ではなく、置かれた場所が決めているだけです。

実際に業務の中から生まれたツールには、机上の企画にはない強さがあります。現場の細かい面倒 ―― 表記ゆれ、例外処理、ありがちな入力ミス ―― が、すでに織り込まれているからです。同じ仕事をしている人が見れば、その価値はすぐに分かります。

悩ましいのは、値段のつけかたです

ここで正直に書いておきたいことがあります。

開発が速くなると、従来の考え方では価格が下がります。人月や工数で値段を決めてきたからです。3ヶ月かかったものは高く、3日でできたものは安い。同じ成果物なのに、かかった時間だけで値段が変わる。

でも、買う側が受け取っているのは「作るのにかかった時間」ではなく「これから減る手間」です。毎日30分の作業がなくなるツールの価値は、それが3日で作られたか3ヶ月かかったかとは関係がありません。作った側にしても、数日で作れたのは、それまでに積んできた経験があるからです。

かといって、成果物の価値だけを主張して高値をつければ、買う側は納得できません。ここは本当に難しいところで、私たちも唯一の正解を持っているわけではありません。

だから「納得感のある金額」で取引できる場にしたい

ラグボックスが目指しているのは、作った時間でも、言い値でもない、その中間です。

  • 買う人が判断できる形で並べる ―― 何ができるツールなのか、どんな環境で動くのか、どこまで手を入れられるのかを揃えて表示します。
  • 買ってから試せるようにする ―― ファイルとして手元に届き、中身が読めます。ブラックボックスを買わされることがありません。
  • 売る側は届く数で報われる ―― 1社向けの受託なら1回きりだった対価が、同じ課題を持つ複数の相手に届きます。1本あたりを無理のない価格にしても、成り立ちます。
  • 手を入れる前提で流通させる ―― 「完璧に合う完成品」ではなく「8割合っている土台」として売り買いする。だから、買う側も過剰な期待をせずに済みます。

受託の見積は、どうしても「かかる時間」の話になります。マーケットプレイスなら、「その手間が減ることに、いくら払えるか」という買う側の物差しで値段を決められます。私たちは、こちらのほうが今の時代に合っていると考えています。

まとめ

  • 開発スピードに事業判断が追いつかず、行き場を失うツールが増えている
  • 没になったのは価値がないからではなく、置かれた場所が合わなかっただけ
  • 時間ではなく「減らせる手間」で値段を考えたい。ただし売る側にも納得のいく形で
  • ラグボックスは、その落としどころを探すための場所です

お蔵入りになったツールが手元にあるなら、一度出してみてください。あなたの会社で使われなかったものが、どこかの現場を助けるかもしれません。

ラグボックス編集部

ラグボックスの運営チームです。AIで作った小さな便利ツールが、それを必要としている人に届く場所をつくっています。

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